ユビユビキタス社会
ユビキタス社会のウラに潜む落とし穴
2004年10月4日
いつでもどこでも情報のやりとりができる社会の実現が目の前まで迫っています。これにより私たちの生活は格段と便利になるでしょう。しかし、便利さのウラには落とし穴も潜んでいます。
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■ ユビキタスネットワーク社会って?
ユビキタスネットワーク(もしくはユビキタス)社会という言葉をよく耳にするようになりました。
『ユビキタス(Ubiquitous)』とは、「いたるところに存在する」という意味のラテン語が語源になっています。それが転じて、あらゆる人、モノが「いつでもどこでもコンピュータとつながり、情報のやりとりができる社会」をユビキタスネットワーク社会とよぶようになりました。
総務省は2010年のユビキタスネットワーク関連市場の規模を87.6兆円と、2003年の約3倍になると予測、全産業への波及効果は、2010年には120.5兆円に達すると推計しています。
■ ユビキタスでどう変わる?
ユビキタスネットワーク社会では、“人と人”のみならず、“人とモノ”、“モノとモノ”が情報をやり取りするようになります。
すでに企業間では、小さな集積回路とアンテナを組み合わせ、記憶させた情報を発信する機能を持たせたICタグ(電子荷札)の開発が活発化し、鍵を握る情報通信の分野でも研究が進んでいます。例えば、このICタグをスーパーで売られている野菜などに付ければ、買った野菜がどこでどのように作られたかなどの生産履歴が分かります。スーパーの棚卸でも1点1点数える必要はなくなり、在庫管理もスムーズです。せっかく買った野菜を電車に置き忘れてしまってもすぐに見つけることができるようになるでしょう。
車ではGPSの搭載と携帯電話などを利用した双方向のカー・ナビゲーション・システムなどでネットワークへアクセスすることができますし、子供が事件に巻き込まれるケースが相次ぐ中、子供にGPSを持たせることでその居場所を確認できる追跡サービスも既に始まっています。2年前には東芝が業界で初めてBluetooth(ブルートゥース)を採用した家庭用ネットワーク機器と、これに対応したネットワーク家電製品3機種(冷蔵庫、オーブンレンジ、全自動洗濯乾燥機)を発売しています。ホーム端末からの簡単な操作で、冷蔵庫の食材管理や庫内の残り物で作れる料理メニューを提案してくれたり、携帯電話による買い物リストの確認ができたりと至れり尽くせりです。
CMでもお馴染み、「おサイフケータイ」はユビキタスネットワーク社会の鍵とも言われています。「おサイフケータイ」は、JR東日本の定期券やプリペイドICカード“Suica”にも使われているソニーの非接触ICカードFeliCa(フェリカ)をiモード携帯電話に内臓したものです。電子マネーEdyがプリインストールされていて、Edy加盟店で即座に利用できます。また、JR東日本のSuicaや全日空の搭乗券の代わりとなり、携帯電話をかざすだけでゲートを通ることができます。最近では、コカ・コーラの自動販売機でドリンクを購入することができたり、社員証に利用して社員食堂の支払いに使う企業も現れています。
■ 落とし穴はないの?
便利なモノに落とし穴はツキモノです。ユビキタスネットワーク社会も例外ではありません。
懸念されるのが、個人情報の流出です。あらゆる人、モノの情報が簡単に読み取れる世界が実現すると、セキュリティという問題が浮上してきます。まったくの第三者が、インターネットでネットワークに接続して家のエアコンのスイッチを勝手にいじったり、スーパーの在庫数を操作したりすることも考えられます。
総務省はユビキタスネットワーク社会における「負の部分」を克服するため「プライバシーの保護」「知的財産権への対処」「環境・人体への影響」など10分野で100の課題を抽出し、解決・改善策を研究していますが、他国でセキュリティ基準を決める機関があるのと同様に、日本でも情報セキュリティを保証する中立的な機関を作るべきでしょう。生活に密着する技術だけに間違いは起こり得るという前提で、法やプライバシー・ガイドラインの整備などを早急に進める必要があります。
■ ユビキタスネットワーク社会実現へ向けて
ユビキタスネットワーク社会が実現するためにはいくつかのハードルをクリアしていかなければなりません。真っ先に必要なことは、前述の法やプライバシー・ガイドラインの整備とセキュリティを確保するための技術力の向上ではないでしょうか。しかも、セキュリティ技術の向上によってコストがかさんでしまえば、ユビキタスネットワーク社会実現への大きな障害となってしまいますから、企業側の努力も必要でしょう。
あらゆるモノにコンピュータが組み込まれ、あらゆる人、モノがネットワークでつながる。実現すれば、まさに理想的なIT社会の到来と言えるのかもしれません。しかし、実現のためにはまだまだ問題が山積みになっています。普及の前に全ての問題をクリアし、安全且つ便利なユビキタスネットワーク社会の基盤を作っていきたいものです。
森 美柚
提供:株式会社FP総研
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